第5分科会

女も男も自分らしく生きる

―女と男のパートナーシップー

助言者  皆 川 満寿美
司 会  広 瀬 ミサ子
記 録  大 金 洋 子


自己紹介…参加にあたって

* 最近の男女平等の思想が、バックラッシュ等で後退している。自分の周りの女性は何を決めるのにも、「主人に相  談」、問題意識を持っていない。
* 同じように働いていても男女平等ではない。年金の男女平等を進めてほしい。自立できるために勉強したい。
* 新座は地域活動が活発。先進的に男女共同参画の活動が行われている。ジェンダーバッシングに対しても新座か ら発信していきたい。
* 最近の報道で、芸能人が「入籍をすませた」という言葉が気になる。入籍=夫の籍に入ること。女性がもっと自覚的 になって連帯していかなくては。

助言者より

 大学で教えているので、若い人との関わりが多い。その中で思うこと。
男女共同参画基本法、男女雇用機会均等法が施行され、1980年代後半から良くなってきているが、政治の中で目に見えた力になっていない。男女平等が、選挙のなかでの女性票を集めるための政策としてでてこない。
 日本の学校教育の現場で、男女平等の扱いがされていることの表れか、大学の講義を受けに来る学生にきくと、「性差別を受けたことがない」という学生が圧倒的に多い。男女の賃金格差=女性が男性の70%、男女でいのちの値段が違う。女性の国会議員の数ランキング=世界105位、女性地方議員数=全体の10%、出産後の女性の離職率=60%等の実態を示すと、学生はおどろく。何で知らないのか? 教科書に書いていないわけではないが、自分の未来の姿としてとらえられないのではないか? リアリティーがないものを考えなくなっている。放っておくと保守化が進む。
 今の学生は男と女は違うものだから「しょうがない」。男と女、生まれたときから生きると思っている。「男・女である前に一人の人間である」ではなく、「一人の人間である前に男・女」と思っている。男らしさ女らしさに寄りかかっていないとアイデンティティーがもてない。そこのところをバックラッシュがつけ込んできている。
 東京都教育委員会の男女混合名簿やジェンダーフリーを「好ましくない」とする通達や、自民党内にある「バックラッシュのプロジェクトチーム」が作られていること等、バックラッシュの動きが強められている。
「日本国憲法」のなかでの個人の権利は、「生まれ持ったもので利益も不利益も生み出してはいけない」という考え方なのに、「性」だけが特別扱いにされている。

話し合いの中で

* バックラッシュを言っている側のおかしさを広げたい。一部はインターネットで公開されている。情報を入れることで、デマもふくめて信じ込んでしまう人もたくさんいる。そのへんが巧妙で、知的レベルの低い内容だと侮れない。つけ込まれないよう情報を見分ける目を持たなければならない。
* こういうところにきて勉強しているのは女性ばかり。男性はなかなかこない。夫が「性を学んで離婚をしよう」という貼り紙をして、妻が学ぶ事を妨害したという話をきいた。女が学ばない方が男は楽なのだろうか? 女が学んだことを男に伝え、男を変えて行かなくてはいけない。
* こと「性」の問題について、政治家・行政は不勉強。ジェンダー、性教育を伝えようとする人たちは過激なことはしない。デマばかり伝わる。
* 父母が共稼ぎの家で、家事を手伝わない父親に、子どもが疑問を持つが、「そんなことお父さんに言うと、自分にとばっちりがくるから言わないで」と母親に止められる。男性は長時間労働で家にいる時間が少ないので、自分の家の周りに何があるか分からない。地域で人間らしく生きるための状況がつくれない。こういう状態が近年益々進んできている。男性自身が「こんなこといい加減にしてくれ」と思ってほしいが、それを会社にストレートに言うと首を切られてしまう。家族を食べさせていくためには言えない。自殺者が多い。
* お互いに地域に気持ちよく暮らそう。男も女も、楽に豊かに平和に暮らそうというのが男女平等の根底にある考え方。それがなかなか伝わらない。男女平等やジェンダーフリーを言うと「かわいい女」に見られないから言わない。女は良い男(経済力があって、好きにさせてくれる)を掴んだ方が勝ちという発想から抜けられない。『結婚の条件』『負け犬の遠吠え』という本がよく売れ、「ちょこキャリ」がもてはやされる。「貴方自身から男であること、女であることを引き算したら、何が残るの?」人間としての自分自身の生き方を問うことが大切。

申し合わせ事項
1.「日本国憲法」は、全文をとおして性の平等をはじめとする「平等」の精神に貫かれています。この憲法をかえることを断固反対していきましょう。
2.母親大会の成果をはじめ、たくさんの人と様々な情報を共有できるよう、ネットワークをより活用していきましょう。
3.男女とも人間らしく豊かに生きるために、労働時間の短縮と均等待遇を実現しましょう。
4.行政は、市民の要望・要求によって方向性がつくられていきます。すべての人がお互いに生かされ、共生、共存していかれる社会を築くため、行政にはたらきかけ「声」をあげ続けましょう。


市への要望事項
1.離婚時の年金分割、遺族年金の見直しを実現させるよう国に要請してください。
2.妊娠、出産を理由とする女性解雇をしないよう、経営者への指導を徹底してください。
3.ほっとぷらざ一階に男女共同参画推進センターの窓口コーナーを作ってください。
4.ほっとぷらざの運営に市民団体の女性を参加させて下さい。
5.全県、全国的にも先進的な新座の男女共同参画推進の行政を、後退させず、引き続き向上させてください。
6.公民館の使用料は原則無料に戻し、有料化になる前の開かれた公民館の利用を後退させないで下さい。